遺伝的要素が大きく影響する近視の治療と経過について

読書や勉強で近くのものをみる作業が続くと、一時的に近視の状態になるという説を「仮性近視」あるいは「偽近視」といいますが、これは日本独自の考え方で、現在は否定的にとらえられています。以前は、仮性近視に対する治療として、調節麻痺薬という薬を夜寝る前に点眼し、毛様体筋を休ませる方法がかなり広く行われていました。しかし薬の効果が疑問視され、現在では、健康保険の適応外となりました。また、この薬は使用法を誤ると、緑内障を誘発する危険があるのです。

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近視が改善したかどうかは、視力の回復ではなく、ジオプターという屈折度の単位で正確に測って比較する必要があります。これまでの報告ではこの測定が不十分だったことから、信頼性に欠けると判断されたのです。近視は遺伝的要素が大きく影響しますから、本を近づけて読まない、暗いところで目を使わない、といった目の健康法を採り入れた生活をしたとしても、近視になる人はなります。むしろ目が悪くなるから目を使わないようにする、というのは逆効果です。お子さんの目の発達から考えると、自然に行う「ものを見る」という訓練は視力の発達に必要なのです。また、子どもの頃に近視は始まるのがほとんどですが、20歳を過ぎれば近視はさほど進まなくなりますので、過剰な心配は不要です。20歳~25歳で屈折状態の変化はとまり、近視の度の進行もこの前後で止まるのです。屈折状態の年齢分布を見ると、就学前の幼児や小学校低学年の間は、遠視が多いのが現実です。学年が進むにつれて近視の割合が増えてきます。

リスクと利点を考えて視力回復方法を選択することが大切です。

近年、視力回復の治療は目ざましい進歩をとげています。 現在の眼科医療では視力はどれほど回復し目の病気はどこまで治せるのでしょうか。 コンタクトレンズ、手術、レーザー治療、人口水晶体、角膜移植、薬物治療など、選択肢が広がりつつあります。 しかし、まだ歴史が浅い分、安全な術法が確立していないものもあります。 安全で、確実に治療、改善するためには、どのようなことに留意する必要があるのでしょうか?たとえば、最近、視力回復の有効な方法として、レーシック手術が注目されています。 しかしレーシックの安全性、有効性をうたう眼科医院でさえ、手術に関する承諾書で以下のような注意点をあげています 「術前に近視が強い人の場合特に、暗いところや夜間に見え方が良くないことがある・また夜間に、明るい光の周辺に輪状のもやがつく(ハロー)、夜間の照明が眩しい(グレア)、放射状に光が見える(スターバスト)ことが、ある。 」さらに、「感染等によって重度の視力低下をまねく恐れがある」とさえ述べています。 そして「レーザー手術が人間の目の治療に応用されるようになって、約20年経つもの、すべての合併症を把握することは不可能であり、承諾書に書かれた問題や合併症以外のことが起こりうることをご了承ください」と述べています。 めがねやコンタクトレンズなしの生活がどれほど快適であるかは、日ごろ、特に運動時などに不自由を感じていらっしゃる方なら痛感していらっしゃることでしょう。 しかし、まだこのような「不確実な段階」であることを考え、その利点とリスクを考えて、納得のいく視力回復方法を選択することが大切です。

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